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最新更新日:令和元年6月14日 一覧

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無人航空機の未来 ドローンで実現する“プラットフォーム”とは

無人航空機の分野で近年注目を集めているテクノロジーであるドローン。それは今や個人的な趣味の域を超えて「産業活用」という観点から大きな期待を寄せられています。
産業におけるドローンの活用を語るとき、DaaS(ダース)という言葉が出始めたのも最近のことです。
耳慣れない言葉ですが、SaaS(サーズ) / IaaS(アイアース)等という表現をメディアやビジネスの場で聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。数年前からクラウド・サービスを採用・検討する会社が急増していますが、SaaS、IaaSとはそれぞれSoftware as a Service, Infrastructure as a Serviceの略称で、クラウド・サービスの提供範囲に応じて区別をする呼び名です。
それに対してDaaSとはDrone as a Serviceの略で「ドローンで取得したデータのビジネス活用を支援するサービスプラットフォーム」を指します。
この表現が意味するところは、いわゆるビッグデータ活用と呼ばれる「データ収集とその分析」が市場で価値を持ち始めている、ということでもあるのです。ここに産業用無人航空機の未来への希望が込められています。

機体が取得できるデータは飛行情報ばかりではなく、位置・温度、さらには画像データ等まで多岐にわたります。そして驚くべきことに、このビッグデータ活用はすでに私たちの身の回りで広がりはじめているのです。

例えば、The Weather Companyとアイ・ビー・エム株式会社の取り組みによると航空機が取得する天候データを利用して機械学習分析と組み合わせることで、気象庁の発表よりもさらに細かなメッシュ(四方)で天候予想をすることができるようになったといいます。その情報は大きなビジネスインパクトを生むとされ、具体的には小売店舗の出店計画や広告計画に役立っています。
さらには、ドローンで取得した位置情報や空撮画像は、農産業分野での無人農薬散布や災害時の無人安全確認にも役立っています。

しかし一般的に多くの企業がビッグデータ活用に苦戦していると言われています。
2018年日本貿易振興機構(ジェトロ)が米国に進出する日系企業を対象として行った「2018年度米国進出日系企業実態調査」によるとスマホやタブレット端末、クラウドサービスについては「活用している」企業が回答企業の半数以上(それぞれ71.7%、50.9%)に上ったのに対し、ビッグデータ活用は全体の5.3%に満たない結果となりました。その理由は、ビッグデータ活用にはデータの取得~加工の難しさがあり、また取り組みの明確な目的設定、テクノロジーの発展に応じた試行錯誤の継続が一貫して必要となるためです。

こうしてみると、日本産業用無人航空機市場の発展・世界市場に対する展開を見据えたときこれからビッグデータ活用戦略と体制がより一層重要になることが予想できます。

幸いなことに、ドローンにおいては「DaaSプラットフォーム」という名のもとにビッグデータ活用を可能にする最新テクノロジーとその実例が多くあります。
しかしながらそれを十分に機能させるためには、関連する多くの方の力を今以上に結集していくことが大切です。機体の開発者、動作確認や調整などの整備・機体の操縦を担う方、そして産業活用を具体化するすべての方にとっての情報共有と協働の場が不可欠となるでしょう。

益々の発展に向けた協働体制のための「プラットフォーム」として、日本産業用無人航空機工業会の場を今後ともお役立てください。